2020年8月2日日曜日

【WRX STI】ハンドルスイッチ信号変換ユニットの取り付け(VAB)

ハンドルスイッチ信号変換ユニットとは?

IMPREZA-NET〈インプレッサネット〉launch から販売されている、WRX STI(VAB)用のオプションパーツです。

WRX STI(VAB)にはハンドルスイッチは左側のオーディオコントロール用のスイッチしかありません。
右側はレヴォーグやWRX S4などのアイサイト搭載車両であれば、アイサイトコントロール用のスイッチが取り付けられていますが、WRX STIにはアイサイトがありませんので、右側はメクラの蓋が取り付けられています。

この空いている右側にアイサイト用のスイッチを取り付けて、SIドライブの切り替え、ハザードスイッチやVDCのON/OFF、DCCDの切り替えができるようになります。
また既存のMID操作用スイッチを流用してMFDの操作が手元で行えるようになります。
特にハザードとMFDのスイッチが中央エアコン吹出口の場所にあり手が届きにくいです。

私の車両はアドバンスドセイフティパッケージ装着車両で、フロントカメラとサイドカメラが取り付けされています。
サイドカメラについては狭い場所で左側ギリギリに寄せたい場合に重宝するのですが、いかんせんスイッチの場所が悪く使い勝手がよくありません。
このパーツを取り付けることによりMFDが手元で操作できるのは非常にありがたいです。
(こちらの機能が利用したいので導入したようなもの)

事前準備

取り付けに必要なもの

  • ハンドルスイッチ信号変換ユニット(必須)

    これがないと始まりません。
    IMPREZA-NET〈インプレッサネット〉launch のサイトから購入することができます。

  • WRX S4(VAG)用ハンドルスイッチ(必須)

    これも必須です。
    本来はS4のアイサイト操作用のハンドルスイッチですが、こちらを流用することによりVABの機能を拡張します。
    ディーラーに部品番号を伝えて購入しました。
    部品番号:83154VA380

  • スバル純正のれんわけハーネス

    こちらは必須ではありませんが、車両から電源やサイドブレーキの信号をスマートに取り出しするためにこちらを利用します。
    本来はカーナビやETCの取り付けの際に各種信号を取り出すために使用するものです。
    こちらもディーラーにて購入することができます。
    部品番号:H0077AL000

  • スプライス端子(必須)

    車両側の配線を分岐するのに必要です。
    配線コネクターでも分岐は可能ですが、接触不良等トラブルの原因にもなりますので、私はできるだけ使わないようにしています。

  • 配線コネクター(必須)

    配線の分岐は通常スプライス端子を使用するようにしますが、車両側の場所によってはワイヤーストリッパーや電工ペンチが入らない場合があります。
    その場合は配線コネクターを使用して配線を分岐します。

  • エーモン接続コネクター[2825]

    こちらはなくても取り付け可能ですが、スマートに取り付けするために利用します。
    こちらは脱着可能タイプです。

  • エーモンカプラー3極

    取り付けに際し、DCCD信号配線(助手席側からの配線)3本をユニット本体に接続する必要があります。
    ばらばらに接続すると配線のまとまりが悪いのでカプラーを使用して3本まとめて接続します。

  • エーモン配線チューブ5φ

    DCCD信号配線(助手席側からの配線)3本を配線チューブを使用してまとめます。

  • ギボシ端子

    のれんわけハーネスからくる配線はギボシ端子ですのでこちらを使用してユニット本体に接続します。

取り付けに必要な工具

  • プラスドライバー

    メーターまわりの取り外し、ハンドルコラムの取り外しに必要です。

  • 10mmソケット

    運転席奥のヒューズボックスの取り外しに必要です。

  • 17mmソケット

    ハンドルの取り外しに必要です。

  • 電工ペンチ

    ギボシ端子、スプライス端子をかしめる際に必要です。

  • ワイヤーストリッパー

    スプライス端子を接続する際、車両側の配線の被覆を剥くのに必要です。

事前配線準備

ハンドルスイッチ信号変換ユニットの取り付け説明書によると、ユニット本体はハンドルコラム内の下側に取り付けることになっています。
また、ユニット本体から伸びている配線を車両側のあらゆる箇所に接続するような手順になっています。

きれいに配線するためには、ユニット本体からの配線を直接車両側に接続するのではなく、逆に車両側からの配線を一度ハンドルコラムの下側に集めてきてユニット本体に接続する方法をとります。

ユニット本体から出ている配線を途中でカットして、 エーモン接続コネクター[2825]launch3極カプラーlaunchギボシ端子launch を利用して後から簡単に繋げられるようにしておきます。

運転席まわりの配線

運転席まわりから取ってくる配線は エーモン接続コネクター[2825]launch を使って接続します。
ユニット本体から出ている以下の配線を途中でカットして接続コネクターをとりつけておきます。
(カットした配線の余りは車両側と接続する際に再利用します。)

  • 水色   - ハザードスイッチ
  • 茶色   - SIドライブ信号
  • 白    - アクセル信号
  • オレンジ - VDC ON/OFF
  • 若草色  - MFDスイッチ
のれんわけハーネスに接続する配線

カットした配線の内、のれんわけハーネスに接続する3本の配線にギボシ端子をとりつけておきます。
内1本はGNDの為、メス端子です。

  • 赤色 - ING
  • 灰色 - パーキングブレーキ信号
  • 黒  - GND(アース)
DCCD信号配線(助手席側からの配線)

DCCD信号配線は助手席側から持ってきます。配線は3本です。
ユニット本体側の配線にエーモンの3極コネクターを取り付けておきます。
また配線を助手席側から持ってきますので約1m程度は必要です。
こちらはキットに付属の延長ケーブルを使用します。
また配線のまとまりをよくするため、三編みにしておきます。

車両側配線の分岐について

各種、車両側の配線の分岐については、とても詳しい取り付け説明書が添付されていますので手順どおりに進めていけば間違うことはありません。
ここではポイントだけ紹介することにします。

作業に際し、必ずバッテリーのマイナス端子は取り外ししておきます。

配線① ハザードスイッチ

エンジンスイッチまわりの内装の取り外し

エンジンスイッチまわりの内装を取り外します。
まずはドア横のカバーを外して、下のタッピングネジを取り外します。

この部分を手前側に引っ張れば外れます。

スイッチの裏側に配線カプラーが接続されていますので注意してください。
このカプラーも全て取り外しします。

ヒューズボックスの取り外し

エンジンスイッチが取り付けられている部品を取り外すと、茶色のヒューズボックスが見えます。
茶色のヒューズボックスの左側に黒の細長いヒューズボックスがくっついていますので、爪を解除してこれを取り外しします。
黒のヒューズボックスが外れたら、今度は茶色のヒューズボックスにつながる白いカプラー(赤矢印)を取り外しします。
その後、上の2本のナットと下側のボルトを取り外しします。(黃色丸印)

カプラーとボルト・ナットが外れたら、今度は茶色のヒューズボックスを下の写真のように下にずらします。
ヒューズボックスに配線がつながったままですが、そのままで大丈夫です。
配線に無理な力がかからないように注意してください。

のれんわけハーネスを接続するオプションコネクターとハザードスイッチの配線を分岐するカプラーが見えます。
オプションコネクターにのれんわけハーネスを接続します。

ハザードスイッチ配線の分岐

ハザードスイッチの配線のカプラーを引き抜きます。
写真の緑の配線がハザードスイッチの配線です。
配線の場所については取説にて確認してください。

この配線をスプライス端子を使って分岐させます。
ワイヤーストリッパーにて配線の被覆を剥きます。
ここはまだスペースに余裕がありますのでワイヤーストリッパーが入ります。

ハザードスイッチの配線には水色の線を使用します。
このようにむき出しになった車両側の配線に水色の線を巻きつけていきます。
電工ペンチにてスプライス端子をカシメます。
(写真を取り忘れました。。)

配線② アクセル開度信号

アクセル開度信号はアクセルペダルの上部の配線から取得します。
アクセルペダルの上部にカプラーで接続されていますので取り外します。
取説にあるようにエンジン停止後すぐにカプラーを取り外しするとエンジンチェックランプが点灯する場合があるようなので気をつけます。

作業スペースが極端に狭く、配線の被覆を剥くのが困難ですのでこちらは配線コネクターを使用して分岐させることにします。

分岐させた配線はハンドル下側まで持ってきます。

配線③ VDC ON/OFF信号

VDC ON/OFF信号の分岐は容易です。
エンジンスイッチにつながっていたカプラーから目的の配線をスプライス端子にて分岐させます。

配線④ SIドライブ信号

メーターユニットの取り外し

メーターのパネルに傷がつかないようにしっかりと養生しておきます。

メーターフードの上のタッピングビスを取り外しします。
するとメーターの枠が取り外すことができます。

メーターの枠を取り外すとさらにメーターの四隅にタッピングビスが出てきますのでこちらを取り外しします。

ビスを取り外すとメーターユニットを手前側に引っ張るとメーターユニットが外れます。

裏側にコネクターが接続されていますので、爪を押しながらコネクターを取り外しします。

SIドライブの信号の分岐

SIドライブの信号配線を分岐させます。
配線の場所は取説にて確認してください。

ワイヤーストリッパーにて配線の被覆を剥き露出させます。
ユニット本体からカットした茶色の配線を車両側の配線に巻きつけてスプライス端子にてカシメます。

ビニールテープにて絶縁処理をした後、ハンドルコラム下側まで配線しておきます。

配線⑤ DCCDコントロール信号(助手席側)

助手席側ダッシュボード下の分解

助手席側ダッシュボード下を分解し、作業スペースを確保します。 まずはグローブボックスを取り外しします。
左側にダンパーが取り付けられていますのでこちら外しします。(引っ張れば外れます)

グローブボックスの左右に突起があり、車両側に引っかかるようになっていますので、内側に押し込みながら下側にさらに開くようにすると外れます。

プラスチックのカバーを取り外しします。
爪で固定されているだけですので、内装剥がしを差し込めば外れます。

タッピングビスで5箇所固定されていますのでこちら取り外しします。(赤丸の箇所)
配線が2箇所、爪で固定されていますのでこちらを取り外しします。(緑丸の箇所)

プラスチックの枠を手前側に引っ張ることで外せます。 グローブボックスのライトの配線が一箇所カプラーにて取り付けされていますのでこちら外します。

グローブボックスの下側の内装を外したところです。

赤矢印の銀色のボックスがDCCDの制御ユニットです。 ボックスの下側に白のカプラーにて配線が接続されていますのでこちら取り外しします。

こちらのカプラーに接続している配線からDCCD信号配線3本を分岐させます。
配線の場所については取説を確認してください。

ワイヤーストリッパーにて配線の被覆を剥き、スプライス端子にて配線の分岐を行います。

スプライス端子にて配線の分岐をさせたあとはこのようにビニールテープや配線テープにて養生しておきます。
分岐後の配線は配線チューブなどを使用しまとめて運転席側まで持ってきます。
運転席側への配線の取り回しは、センタークラスターを取り外しナビの配線を通すための穴が空いていますのでこちらを利用します。

配線⑥ MFDコントロールスイッチ

センタークラスターパネルの取り外し

センタークラスターパネルを取り外しします。
センタークラスターパネルは爪で固定されているだけですので、隙間に内装剥がしを差し込んで手前側に引っ貼ることで外れます。

エアコンのコントロールユニットの裏側にカプラーにて配線が接続されていますのでこちら取り外しします。

上部のハザードスイッチとMFDスイッチにカプラーにて配線が接続されていますのでこちら取り外しします。

MFDスイッチの配線を分岐します。
配線の場所に関しては取説を確認してください。

この配線は意外と短くて分岐させるのに苦労しました。
写真のようにテープでぐるぐる巻きにしておきます。
分岐させた配線は下におろして、助手席側のDCCD配線と一緒に運転席側のハンドルコラム下まで持っていきます。

ハンドルスイッチの取り付け

エアバッグユニットの取り外し

ハンドルを取り外しするには、まずハンドルについているエアバッグのユニットを取り外しする必要があります。
こちらの取り外しがある意味一番難しいです。

エアバッグユニットがどのように取り付けられているか確認します。
エアバッグユニットから出ている3個の突起がハンドル側の穴に嵌合し、且つハンドル側にある棒状のバネが3個の突起の溝にはまることで固定されています。

ハンドルの裏側には左右2個と下側1個の、合計3個穴が空いています。
ここにマイナスドライバー等を挿入し、棒状のバネとエアバッグユニットから出ている突起の溝とのロックを解除することで、エアバッグユニットが手前側に出てくるように外れます。

これを左右2箇所と下側1箇所の、計3箇所のロックを解除します。
3箇所のロックが全て解除されるとエアバッグユニットが外れます。

マイナスドライバー等で棒状のバネを矢印の向きで押すことで、ハンドルとエアバッグユニットの嵌合が外れる仕組み。

エアバッグユニットの裏側のコネクタを外します。
細いマイナスドライバー等でロックを持ち上げ、上に持ち上げるように取り外します。

赤丸の配線を取り外しするとエアバッグユニットが外せます。

ハンドルの取り外し

ハンドルスイッチの白いカプラーを外します。
ハンドルを取り外す前に、ハンドルのセンターがずれないようにマジックでマーキングしておきます。

ハンドルを固定しているナットは17mmですので、まずはこちらを緩めます。
ナットは完全に取り外さないでナットの半分がねじ山にかかった状態にしておきます。

この状態でハンドルを前後に揺らすように手前に引っ張ると、中央の軸とハンドルの嵌合が外れて取り外せる状態になると思います。
(ハンドルを固定しているナットを完全に取り外した状態だと、ハンドルで顔面を強打する恐れがあります。)

ハンドルスイッチの交換

ハンドルが取り外しできたら、既存のハンドルスイッチをVAG用のハンドルスイッチ(部品番号:83154VA380)に交換します。

ハンドルスイッチはタッピングビスにて固定されているだけですので、既設スイッチ取り外してVAG用スイッチに交換します。

ハンドル及びエアバッグユニットを元通り取り付けしてします。

ユニット本体の取り付け

パイロットLEDの取り付け

ハンドルスイッチ変換ユニットのLEDパイロットランプはハンドルコラムの上部に取り付けしました。
(両面テープにて貼り付ける)

配線はハンドルの根本にはわせておきます。

ハンドルコラムカバーの取り外し

ハンドルを若干左右に切ることにより、ハンドルの根本にビスが見えるようになります。
このビスを左右2箇所取り外しします。

昔の車のキーシリンダーの場所にはメクラの蓋があります。
こちら取り外しします。(ひねるようにすると外れます)

コラムカバーは爪で嵌合されているだけですので、キーシリンダーの穴のところに指をかけてコラムカバーを上下に割るように力を入れると外れます。

ユニット本体の取り付け

純正のハンドルスイッチのカプラーを車両側から取り外し、ユニット側に差し込みます。
その後、ユニット本体から出ているカプラーを車両側に差し込みます。
カタカタ音が発生しないようにスポンジテープを巻きつけておきます。

ユニット本体はハンドル下側にタイラップにて固定します。
ユニットからの配線と、これまで車両側から取り出した配線を間違えないように接続していきます。
色分けされているので間違うことは無いと思います。
基本、同じ色の配線を接続するだけです。

配線の接続が終わったら、接続部分をテープにて保護しておきます。
こちらもカタカタ音の原因になるのでスポンジテープも巻きつけておいたほうがいいでしょう。
コラム下側のハンドルの根本のスペースに収納しておきます。

ハンドルコラム下側のカバーを元通り取り付けします。

以上で取り付けは完了となります。
この後、動作確認を行います。

あとがき

私が個人的に一番必要としている機能は、MIDスイッチにてMFDを操作する機能です。
[S#/I]ボタンの長押しにて、MIDとMFDのどちらを操作するのかを切り替えることが出来ます。
またエンジンを切ってもどちらを操作するのかを覚えていますので非常にありがたいです。
私は基本MFDの操作としています。

SIドライブの操作ですが、デフォルトの設定では[S/I]ボタンは短押しで[I]モード、長押しで[S]モードとなっています。
VABで基本[I]モードは使用しないのでこちらは短押しで[S]モード、長押しで[I]モードに設定を変更しておきます。

というかこの車で[I]モードって必要ですか?
[I]モードはレスポンスがダルいので非常にストレスを感じます。
私の運転では[S]モードでも[I]モードでも燃費は変わらないので、わざわざ[I]モード選択する意味がありません。

ボタンの割当(デフォルト設定)

以下にデフォルトの設定を記載しておきますが、設定は好みによって変更することが可能です。
(詳しくは取説を見てください。)
例えば私の場合、S/Iボタンを[短押しで[S]モード、長押しで[I]モード]に設定を変更しています。

ボタン 説 明

サンキューハザード

DCCDの操作

VDC ON/OFF

DCCD オート/マニュアル

短押し - SIドライブ S#

長押し - MID/ MFDの操作を切り替える

短押し - SIドライブ Iモード

長押し - SIドライブ Sモード

取り付け難易度

取り付けに関しては車両側から計11本の配線を取ってくる必要があり、車の内装、電装系を触ったことがなければ結構難易度が高いと言えます。

また、内装をバラす箇所も多いです。
DIYにて作業する場合は入念に下調べした方が良いでしょう。

取説にも注意書きがされておりますが、車両側の配線の接続を間違えると、ECUや車両側の電子機器を損傷するかもしれません。
自信がない人は無難に車屋さんにお願いしたほうがよいでしょう。
(でも恐らくディーラーではやってくれない)

とはいえ、昨今ではネットやSNSが広く普及しているということもあり、先人の方々がみんカラやブログにありとあらゆる記事をアップしてくれています。

特にWRX STI(VAB)に関しては、車好きな人が選ぶ車種ということもあり、かなり情報量が豊富です。
この記事もこれから車をDIYする方々の一助になれば幸いです。