はじめに
例のボルトとは?
巷では例のボルトなんてよく言われていますが、実はSTIのコンプリートカーやTuned by STI、tSなどの車両のリアメンバーに取り付けられているフランジボルトになります。
VABでいうとS207やS208、あとRA-Rなんかにも採用されています。
コンプリートカーのために、ボルト一本から特注品を作るSTIの愚直な姿勢には脱帽するあまりです。
ただ純粋に真面目にいい車を作りたいという思いの現れでしょう。
今回は標準のフランジボルトからSTI製のフランジボルトに交換します。
なんの変哲もないフランジボルトですが、値段はなんと!1本900円もします。
標準のフランジボルトが1本400円ですので、値段は2倍以上する計算です。
STIコンプリートカーでの使用箇所
STIのコンプリートカーであるRA-Rのパーツリストを見ると、実際にSTI製フランジボルトが使用されている箇所は、リアメンバーの前側の固定ボルトだけです。 後ろ側は標準のボルトのようです。
事前準備
工具
スロープ
車体下の作業スペースを確保します。
19mmソケット
メンバーボルトの取り外し・取り付けに必要です。
長めのスピンナーハンドル
メンバーボルトはかなりの高トルクで締め付けされていますので、長めのスピンナーハンドルがあったほうが作業が楽です。
150mm エクステンションバー
メンバーボルトを緩める際は、サスペンションアームやマフラー等がありますので、これら部品を避けるために150mm程度のエクステンションバーが必須です。
トルクレンチ
私は12.7mmのトルクレンチはこれしか持っていないのですが、もっと長いものの方が作業は楽です。
メンバーボルトの締め付けトルクは145Nmです。
交換作業
スロープに乗せる
メンバーボルトを交換しますので、ジャッキアップはせずに、4輪が接地した状態で交換作業を行います。
ジャッキアップした状態でメンバーボルトの取り外しを行うと、メンバーが下がってきて変な力がかかったり、アライメントが狂う恐れがあるためです。
スロープに乗り上げるだけでも作業はできますが、更に車高を稼ぐためにコンクリートブロックに乗せました。
強度がないコンクリートブロックの場合は、ブロックが割れてしまう恐れもあるので、自己責任でお願いします。
ボルト交換
ボルトの交換は1本づつ行います。 (1本取り外したら1本取り付ける)
前側のボルト
STIのコンプリートカーでは、ここのボルトがSTIのボルトに変更されています。
この標準ボルトを取り外し、STIのボルトに交換します。
メンバーを車体に固定するボルトですのでかなりの高トルクで締まっています。
取り外しの際は、長いスピンナーハンドルがあると作業が楽だと思います。
前側のメンバーボルトを取り外ししたところです。
STIのボルトに交換します。
締め付けトルクは145Nmです。
このボルトの締め付けには非常に苦労しました。
私はこのアストロのトルクレンチしか持っていないのでトルクレンチの長さが短い事と、あと車体の下に潜った状態では力が掛けづらいということが原因です。
後ろ側のボルト
STIのコンプリートカーもここのボルトは標準のままです。
コンプリートカーでも標準ボルトのままということは、STIのボルトに変えても効果が無いということでしょうか?
ボルトの穴の内部を見てもそれほど奥行きが無いことがわかります。
標準ボルトと比較してSTIのボルトは35mm長いですが、それでも先端がフレームに接触するということはありませんでした。
こちらもSTIのボルトに交換します。
締め付けトルクは145Nmです。
後ろ側のメンバーボルト付近にはマフラーやサスペンションアームがありますので、締め付ける際にはエクステンションバーがあると便利です。
考察
ボルトについて
標準ボルトに比べてSTI製のボルトは、長く、太く、フランジ部の厚みもあり、いかにも剛性がありそうです。
特にWRX STIは走りに特化した車ですので、こちらのボルトを標準にしてもよいと思うのですが。
標準ボルト | STI | |
---|---|---|
長さ | 130mm | 165mm |
太さ | 13mm | 14mm |
フランジ部の厚み | 3mm | 4mm |
上が標準ボルト、下がSTIのボルトです。
画像を比較するとよくわかりますが、標準ボルトは途中から細くなっていますが、STIのボルトは太さが一定です。
標準ボルト
STI製ボルト
部品番号:ST20159ST000
交換後インプレッション
私が鈍感なのかもしれませんが、これといった変化を感じることはできません。
あえて言うなら、若干乗り心地がよくなったという印象です。
逆に、ボルト4本で劇的に体感できるほどの変化があるなら、標準採用のボルトに問題があると言わざるを得ないでしょう。
数値的にはボルトの剛性がアップしたことにより、ボディとリアメンバーとの接合力が高まり、ひいては車全体の剛性がアップしたことは疑う余地もありません。